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2011.09.17 (Sat)

サラリーマン残酷物語 あるいはエントロピーの話

ところで,まどかマギカの登場人物の中で一番共感できるのはQBだったりする。
おっと,石を投げないでくれたまえ。
銃弾もノーセンキューです,わしに替わりのボディはないので。



いや,だってさあ。
ちょっと考えてみてよ。
QBって,ある日突然上司から呼び出されて
「キミィ,明日南米に飛んでくれないかなあ。
 今度のカスタマーはアマゾンの奥地のヤドクガエルさんで,ノルマは100億件ね。
 達成するまで帰ってこなくていいから!」
とか命令されてきたようなもんでしょ。

話を聞いただけで胃が痛くなる…。
ほんやくこんにゃく(仮名)でかろうじて意思疎通はできるものの,
まるで理解できない異生物の相手を何百万年も続けてて,
QBさんよく胃潰瘍にならなかったなあ。
あ,感情がないんだっけか,そりゃよかった。



なんちゅうか,中学生があの作品を見たらQBは100%加害者だろうけど,
大人になってから見た場合,サラリーマンの悲哀を感じざるを得ないというか。
さやかちゃんに斬殺されたホスト2人組も
発言だけ取り出すと人間のくず以外の何者でもないけど,
本質的には上司や取引先のことを愚痴ってる会社員と変わらないということが
分かってしまうと,「アンタ方も大変だ」と言いたくなってまう。
特に,人間のくずという社会的な役割のすき間をぬって現れる人柄の素朴さ
(夜更かしはよくないぞ)がなんとも人間くさくて,また。
きっとこの2人,田舎から出てきたんだろうなあ。
まあ,この素朴さも訓練された営業テクニックのひとつでしたといわれると
こりゃ一本取られたね! て感じだけど。



オマエそれでも人間か,とお怒りの読者さん。
ごもっともです。
さやかちゃんの苦しむ姿なんか見たくないもんね><

だが断る。
続いて,この例えを聞くがよい。
「生後2ヶ月から3ヶ月のメスのハツカネズミを燃料にした
 画期的な発電システムの開発に成功しました!
 その名も魔法少鼠発電!(仮名)
 二酸化炭素も放射能も出さない,完全無欠のクリーンエネルギーです。
 もちろん,犠牲となるハツカネズミを慰労するため,
 最大限の食餌で応える所存です。」

こんな風にいわれて,魔法少鼠発電の導入に反対する人間がどれだけいるかって話。
QBやショウさんのこと鬼とか悪魔とか詐欺師とか,わしらが言えた義理だろうか?
わざわざ相手を知的生物と認めて,翻訳機まで作って相手の同意を得てから
コトに及んでるだけQBさんのほうが人間よかよほど紳士的だよ。

理解してくれたかな?
じゃあ,僕と契約して(略



そんなヨタ話は抜きにしても,魅力的な存在だよQBさんは。
普段何してるのかとか(昼寝とかすんの?),好物はあるのかとか,
一般人には見えないQBがご飯食べたとしたら,ご飯が宙に浮いてるように見えるのかとか,
お風呂に入ると気持ちよさそうにしてるけど本当に気持ちがいいのかとか,
地球に何匹くらいいるのかとか,
QB自体は高AIの自動販売機に過ぎなくて
それを設置した中の人がどっかの本星にいるんじゃないかとか,
さやかちゃんのおっぱい揉む時に劣情を催したりしないかとか
いろいろ気になって夜も眠れない。
から,昼間職場で寝てます。

おまけに,人類では遠く及ばないようなものすんごい科学力を持ってるみたいだし,
人類の歴史をつぶさに見てきたわけでしょ。
この生き物と知り合いになれたら,話を聞いてるだけで一生退屈せずにすみそう。
歴史の真相とか聞けちゃうわけだ!



そうだ,気になるといえば,宇宙の熱的死を防ぐ(※)って具体的にどうやるのかな?
グリーフシードを恒星の核にポイッと放り込むと一気に燃え上がるのかな。
それとも惑星にバカでっかいジェットエンジンでもくっつけて,
自転速度を維持したりするのかな(マヌケな光景だ)。
あるいは,ドカンと一発景気よく超新星爆発でも起こすのかな。
(頼むから地球の近くでやらないでおくれよ…)

この前は,法律の観点からまどかマギカの世界を描いた作品を紹介したけど,
おんなじように宇宙物理学とか熱力学とか天文学とかを織り込んで
面白おかしく説明してくれる作品,誰か作ってくれないかなあ(チラッチラッ



それにしても,宇宙が冷えて死んじゃうと困るからアクションを起こすとは,
QBの一族はずいぶんと心配性だなー。
他にすることないのか。
それとも,宇宙の熱的死が現実的な脅威になるほど長命な一族なんか。

あれ,こんな世界観の文明,地球にもあった気がするぞ。
中米あたりに。
太陽を維持するために捧げられる大量のいけにえ(「魔女の口付け」),
東の空から戻ってくるという,人類に文明を授けた「白い」肌の神の伝説…。
ま,まさか…!



きゅっぷい



(手記はここで終わっている。)










※ 補足:QBのいうエントロピーについて

まず最初に書いておくけど,高校時代の物理の平均点が30点だった人間が
説明することなので,鵜呑みにしてはいけないよ。
いいね?
じゃ,始めるよ。

まず,宇宙全体のエネルギー量(熱量でもあり質量でもある)を100としよう。
そして,このエネルギー量は時間の経過にかかわらず一定と考えようか。
もし宇宙の外に何かがあって(仮に外宇宙としよう。燃え上がれ俺のコスモ的な意味合いで),
内宇宙と外宇宙の間に熱量差があれば,
まるで氷水が空気に触れて生温かくなっていくように
エネルギーが移動して内宇宙のエネルギー量が変化するかもしれないけど,
んなもんあるかどうか分からんので,考えないことにしますよという意味で。
(ここら辺を統一的に説明しようとしているお話に,M理論というものがあるんだって。
 超ヒモ理論とかM理論とか,物理学はやらしすぎるにもほどがあるでしょう…)

次に,宇宙開びゃく(ビッグバン)時点での宇宙の広さ(大きさ)を1としよう。
すると,この時点での宇宙の平均的な熱密度は100/1で100になる。
狭いスペースにお客さんがミッチリ詰まっている満員電車をイメージしてほしい。
JRは電車を増やせと殺意に満ちた顔の乗客が頭に思い浮かぶ。
朝の埼京線とかなんとかせいよホンマ。殺す気か。



ところで,宇宙開びゃく以来,宇宙は膨張し続けているというのが今の通説らしい。
こう考えると,やがて宇宙の広さが100になったとき,
平均的な熱密度は100/100で1
になるわけだ。
お客さんの数は変わらないけど,電車の本数が増えたことで混雑は緩和されて,
JR,GJというところ。

さらに時間が進んで,宇宙の広さが10,000になると,
平均的な熱密度は100/10,000で0.01
になる。
顧客の増加が見込めないのに電車を増やしすぎてしまったJR,
今度は経営陣の責任が問われるところである。



お次はわしらの話。
われわれ人間は暑すぎても寒すぎても生きていけない難儀な生き物である。
たぶんQB(の中の人)もそうなんだろう。
仮に生物が生きていくのに適した熱密度が1±0.5であるとすると,マクロな視点で見れば,
宇宙の広さが66~200くらいでないと生き物は存在できない
わけだ。

だが!
・宇宙のエネルギー量は一定
・宇宙は時間の経過によって膨張する

この条件下では,時間の経過とともに熱密度が寒い側に振り切れることは確定的に明らか。
QBが危惧しているのはこのことである!

QBのいうエントロピーの危機とは,本当は宇宙からエネルギーが失われることではなくて,
宇宙が膨張し続けることでエネルギーが宇宙中に拡散してしまい,
生物の存続に必要な熱密度を維持できなくなること
といえよう。
いわばエネルギーの過疎化問題である。
「一人ぼっちはさびしいもんな」である。
QBったら顔に似合わずセンチメンタリスト,杏子ちゃんのことは笑えないゾ。

まどかちゃんに向かって,「宇宙全体のエネルギーは、目減りしていく一方なんだ」
とかしたり顔で説明していたけど,あれは正確には上に書いたようなことなんだろう。
どっちにしろ,こんなん中学生じゃ理解できんわ!

いや,もしかしたら,外宇宙ってのが本当は実在して,
そっちにエネルギーがどんどん漏れていってるのかもしれないけど。



話を戻そう。
この問題を解決する方法は,ざっくりいって2つある。
①宇宙の膨張を食い止める
②宇宙のエネルギー量を増やす

だ。



①は,宇宙を生長するスイカにたとえるなら,
鉄の箱に閉じ込めて一定以上大きくしないようにする試み。
でもアンタ,宇宙より大きな箱を作って宇宙を閉じ込めるって…。
正直,ニャラルトホテップとかの旧支配者のパワーでもいかんともしがたい気が。
石川賢が生きてたら何とかなったかもしれないなあ。



②は,注意が必要だ。
仮に宇宙で核爆弾をドッカンバッカン爆発させても,
宇宙全体のエネルギーは増えもしないし減りもしないのだ。
宇宙自体は閉じたエネルギー系(外部とエネルギーのやり取りがない)だろうからね。
物質の形をとることになるか,エネルギーの形をとることになるかの違いでしかない。
ちょっと形が変わるだけだ。

しかし…結論から言うと,QBは②の方法で問題を解決しようとしている。
それは,魔法少女の魔力は熱力学の法則に縛られないエネルギーであると
言っていることからも分かる。

つまり,さっきからないない言っている外宇宙は実は存在していて,
QBはそこからエネルギーを引っ張り出してくることに成功した
のだ。
地球人の少女を導管にして。

宇宙は閉じた系ではなかった!
いや,逆か。
本来なら閉じているはずの宇宙のエネルギー系を無理やりこじ開けて
外宇宙に繋げているからこそ「奇跡」なんだろうな。
「君の願いはエントロピーを凌駕した」というQBの決め台詞は,
「内宇宙と外宇宙を繋げてエネルギーを持ってくることに成功したよ」って意味とみた。

外宇宙が何かはよう分からんけど,作中でいえば
ほむらちゃんがピョンピョン移動している並行宇宙(俗にいうループ○周目の世界)
がそれに当たりそうだ。
QBも,ほむらちゃんが平行宇宙の力を束ねたことで
まどかちゃんの魔力を膨大なものにしたとか考えていた,ような。

(内)宇宙が膨張する分だけ,外宇宙からエネルギーを取ってきて,
(内)宇宙の熱密度を生物の生存可能な範囲に維持する。
平行宇宙間でのエネルギーの融通
それが魔法少女システムの本質であり,QBによる宇宙救済方法なんだろう。



ちなみに,エントロピーという考え方は,
「無秩序さや乱雑さの度合い」を表す言葉であって,
よく「水がなみなみと注がれたコップに墨汁をたらす」というたとえが用いられるみたいよ。

コップに墨汁がたらされた瞬間,墨汁はコップの上部に墨汁として固まっている。
これがエントロピーの小さい状態。
で,時間の経過とともに墨汁は水に混じってコップの中に拡散していく。
これがエントロピーの大きい状態。

墨汁はコップの中を乱雑に広がっただけで墨汁自体が消えてなくなったわけではないことと,
エントロピーの小さい状態→大きい状態の変化はあっても逆はないというのがミソらしい。

これをさっきのエネルギーと満員電車の話に結びつければ,
QBの言わんとしていることも,まあわからんでもな…い?



余談だけど,QBは第10話で「僕らのエネルギー回収ノルマはおおむね達成できたしね」
と言っている。
宇宙が無限に膨張し続けるなら,
魔法少女から回収するエネルギーも無限でなければならないはず。
ところが,エネルギー回収量にノルマ(上限)があるということは,QBは
宇宙が無限に膨張し続けるわけではない=やがて膨張は止み,今度は収縮が始まる
という考え方をしているようにも思える。
最終的な収縮状態を,ビッグバンに対してビッグクランチと呼ぶそうだ。
イメージとしては,
1 頭上に向かって思いっきりボールをぶん投げる(ビッグバン)
2 ボールの運動エネルギーと地球の引力が拮抗したところで
  ボールの移動(宇宙の膨張)が止まる
3 ボールが手元に戻ってくる(ビッグクランチ=ITEッ!)
こんな感じなのかな。

仮にビッグバンのあとにビッグクランチが起こるなら,
同じく生物の生存可能な熱密度を保つため,今度はQBたちは
内宇宙にあるエネルギーを外宇宙に放り出さないといけなくなるのかな。
そのときは,絶望で始まり希望で終わる逆魔法少女システム(通称魔女システム)
でも作るんだろうか。
絶望の淵に立たされた少女たちを拾い上げて,悪人に仕立てておきながら
最後は希望を持たせて幸せにしちゃうQBさん…あれ? いいひと?
(「僕と契約して世の中を呪ってよ!」
 「…ねえQB,わたし世の中を呪うのに疲れちゃった。
  だってみんな優しくしてくれるから,今幸せなんだもん」
 「君は私怨から恨み言をいってるつもりだったんだろうけど,
  それって真実から出た誠の行動だったんだよね。
  そうしたら,あとはみんなの希望になって幸せになるしかないんじゃないかな」
 なんだこのQB,イケメンすぎる…)



収縮状態にある平行宇宙Aからエネルギーを取ってきて
膨張状態にある平行宇宙Bを温めるとか,
もしこんなことを延々と繰り返しているのなら,
QBさんは宇宙の調停者とか神とか呼ばれるにふさわしい存在であって
とても人間の倫理や価値観で測れる存在じゃないなあ。



(参考文献:Googleで「エントロピー」「宇宙の終焉」を検索した結果の1,2ページ目くらい)

テーマ : レビュー・感想 - ジャンル : ゲーム

15:32  |  魔法少女まどか☆マギカ  |  トラックバック(0)  |  コメント(2)

Comment

エカさんさやかちゃん好きすぎだろう

ハツカネズミの例えはうまいな
(倫理的に壁を感じる気がするから、朝顔の双葉くらいでもいいかもしれんが)

エントロピーの話とか、まどかを中学高校時代に見た人間が大学で実際に習って感慨にふけるかと思うと胸が熱くなるな。

あと個人的にはQBは女子中学生よりも松岡修造でもターゲットにしたほうがいいんじゃないかと思ってしまう。
逆毛 |  2011.09.21(水) 00:58 | URL |  【編集】

おかしいな,なぜさやかちゃんへの偏愛がばれたんだ。

あ,これ○○であったやつだ!
は学校教育の中の数少ない喜びだよねー。
わしも信長の野望やってから受けた歴史の授業(戦国時代)は胸が熱くなったわ。



修造は絶望しないよ!
(アイドルはトイレ行かないよ! のノリで)
えか |  2011.09.21(水) 17:26 | URL |  【編集】

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