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2012.01.27 (Fri)

ダークナイト

とうとう雪が降ったね。
こんな寒い日は布団に逃げ込むに限る。
というわけで,光の4戦士は一時中断して,借りてきたDVDを鑑賞。

いやー,ゾンビ映画は何本もまとめて見ちゃダメだね。
後ろの作品ほど冷静になってくるから困る。



ランド・オブ・ザ・デッドはもう少しがんばってほしかった。
ロメロ監督の作品だと思うと余計に。
ただ,ブルジョワが立て篭もる高層ビルに
無産階級のゾンビたちが押し寄せるという展開を見ていて,
ゾンビ映画の本質は階級闘争なんだなーとちょっと感じたり。

金持ちは意地汚く,ゾンビはやたら生き生きと
(そして時には被害者的に)描写されているところを見るに,
監督は観客がむしろゾンビ側に感情移入するのではないかと考えてそう。
ということは,この映画の観客=大衆がよほど貧困層に落ち込んでいるわけで,
そういう意味でゾクリとした
そりゃアメリカはTPPゴリ押しするわけだ。
やな汗かいた。



ハウス・オブ・ザ・デッドは美人のおねーちゃんが
パイオツを拝ませてくれたから良い映画。
セガのゲームを映画化してるだけあってバカゲー臭漂う。



んで今日の本題はダークナイト。
これはなんの映画でしょーか。
FF2かと思った?
残念,バットマンでした!

アメリカ,というか全世界でもたいそうヒットしたらしいのに,
日本じゃ知名度イマイチなのは,題名が悪かったんじゃないかなあ…。
チープだとか叩かれようともバットマン2とかにしておけばもう少し売上伸びたんじゃ!?
かくいうわしもゲオで実物見て,初めてバットマンの続編だと知ったんで。

えー,本編に入る前にわしとバットマンのつながりを。
というより,何もつながりがないということを断っておきますよ。
原作のコミックもティム・バートンの旧シリーズもまったく見たことなし。
バットマンビギンズは見たけど,途中で寝ちゃってストーリーはまったく記憶になし。



そんなわしが見た感想だけど…えらいモヤモヤする。
痛快なヒーローアクションかと思ってみたらえらい暗い作品だったという,
ウォッチメンを見た時のような肩透かしを食ったというわけではなく,
なに開き直ってんのというツッコミ的な意味合いで。



この映画の舞台ゴッサムシティは,高層ビルの立ち並ぶやたらと綺麗な現代都市。
スラムとかどこにあんの? っていう感じ。
ということはだ,バットマンビギンズ以降の新バットマンシリーズは
単に旧作をリメイクしましたというだけではなくて,
「バットマンが現代に現れたら,どんな存在になるんだろう?」
というifの物語でもあると思うんだよね,たぶん。

舞台が現代であるというのは非常に重要なポイント。
なんでかっていうと,己の存在意義に悩むバットマンは
そのまんま現在のアメリカの姿を示しているから。

バットマンはいわば私設自警団で,犯罪者をやっつけたりすることで
役に立つこともあるかもしれないけど,
一般市民からしてみれば厄介者でもあるわけだ。
バットマンがいるせいでいらぬ争いが起きちゃったりして。
これが,世界の警察を標榜して世界のあちこちに喧嘩を売りまくる
アメリカの姿とイコールなのは確定的に明らか。

で,バットマンは自分はいないほうがいいんじゃないかとか悩んだりするんだけど,
最終的には人々からの誤解,偏見,汚名を甘受しつつ,
自分の信じる正義の為に戦い続ける道を選ぶんだ。
決してヒーローではない,悪を倒す悪,犬を食う犬,まさにダークナイト
うーん,かっこいい。

この作品が現実とリンクしてなくて,映画がアメリカ国内だけでやってるなら
これってつまり,
「なんか俺たちよその国から受けが悪いけど,
 やつらが分かんないだけでこれって正しいことだから。
 テロとの戦いはやめないよ」
っていう宣言なわけでしょ。
ゲェーッ

「バットマン(アメリカ)が追い詰めるからジョーカー(テロリスト)が生まれるんだ」
って作中できっちりと言われてるのにこの体たらく。
どうしてこうなった。

自国民は(犯罪者までもが)極限状況においても良心を保っていて(※),
他国民は得体のしれないキチガイ,絶対悪なんていうストーリーを
アメリカ以外の国の人間が見たらどう思うか,考えなかったんか。

そんなのオマエの妄想だろうって?
映画と現実をごちゃまぜにするなって?
じゃあ,なんで敵役のジョーカーはテロリスト(=外国人)そのものとして描かれてるの。
顔も指紋も過去もない得体のしれない存在,
人々を恐怖心で麻痺させ,互いに憎み合うように仕向ける犯行の手口,
そして理性が通用しない(資本主義に価値を置かない,自分の命すら惜しまない)相手…。
(アメリカ人が考えるところの)非アメリカ的なもの,パブリックエネミーの象徴でないの。



ある種のピカレスクロマンである本作のストーリーとしては,これでいいと思う。
けど,ここまで現実の世界情勢を下地にしておきながら,
たとえ絶望の淵に立たされても孤独に戦い続けるアメリカかっこいい(キリッ
でハイ終わりっていうのはあまりにも無責任ってもんじゃあないの,ええ!?
少しはその態度を省みなよって。

これだったら,敵役のジョーカーに
「オレもオマエも一般人からしたら同じキチガイだろう」って突っ込まれても
「遺言はそれだけか!」とでも言って(いや,そもそも無言で)
豪快に機関銃をぶっ放しそうなシュワちゃんやスタローン(が主演の映画)の方が
よほどリアルなアメリカの姿を表現しているし,世界に対して責任ある態度だったと思う。
「俺たちは気にくわない奴には容赦しねえ!」という,
アメリカがいかに野蛮な国であるかを包み隠さず公開していたからね。



なんでこんなに鼻につくんだろう。
わし自身,こういう紋切り型のステレオタイプ的な見方は好きじゃないのに。
作品の感想以前のナンクセになっているとは分かっているのに。
どうしても気になってしまって本編に入り込めない。
くやしい ビクンビクン

冗談抜きで。
こういった変な引っかかり方さえしなければ,
この映画の底にたゆたう深遠なテーマに感じ入ることもできたのに。
といっても,キリスト教徒ではないわしに聖者の受難,悪魔の誘惑という
テーマがどれほど理解できるかわからんけど。



話を戻す。
たぶん引っかかる原因は,この作品の中に欺瞞を感じるからだろう。
社会派というか,なまじ現実のアメリカをベースに作っているにもかかわらず,
現実のアメリカからかけ離れた姿が現実のアメリカの姿として提示されていることに。
アメリカが不殺のヒーローとか,お前は何を言っているんだ状態。

それこそコマンドーとかのように,
「これは娯楽映画ですよ脳みそ空っぽにしてみてくださいね」
ってはじめから言ってくれれば,まったく気にならないのに,
というかそういうの大好きなのに。

アメリカが嫌いなわけでも,野蛮が嫌いなわけでもないんだ,欺瞞が嫌いなんだわしは。
アメリカは野蛮な国でいいから(ほんとはよくないけど),上品ぶるのはやめてくれー。

この作品もダークナイトを銘打つのなら,
人々がお互いに爆破ボタンをポチッちゃうようなどうしようもない世界でも,
それでも戦い続けるような漆黒の物語にしてほしかった。
なんだか中途半端だった。





一方で,さすがにこの年になれば,
映画を作るのにはえらいしがらみがあるんだろうなあということは推察できる。
むしろ,制作費2億ドルのプロジェクトなんて途方もなさすぎて想像できないけど,
きっとスポンサーはとにかく興行収入を上げるように檄を飛ばすだろうし,
原作,旧作ファンは隙あらば「これだから新シリーズは…」と難癖つけようとするだろうし,
ミーハーな観客は「難しくするとわけわかんない」と文句つけるだろうし,
経理のボブ(誰だよ)は金が足りないと悲鳴を上げるだろうし,
ワイフのエマは…手伝ってくれたんだっけか。

とにかく,映画監督にとっての映画制作とは,
100のうち99まで他人が好き勝手に作ったピースを
押し合いへし合いなんとか枠にはめ込んで,
最後の1ピースに自分の作風を込めて作るジグソーパズルみたいなもんなんだろう。

そう考えると,この中途半端ぶり,ちぐはぐ具合も
それらの調整の結果,いや反抗の結果だったりするのかなあーと思えたりして面白い。
コミック原作,絶対に大ヒットしなければならない大衆娯楽映画という制約の中で,
緻密なプロット,カタルシスを得やすいとは決して思えない人間描写という
監督の作風をよくぞまあここまでねじ込んだものだよ。
もともとド派手なアクション映画を撮る監督じゃないみたいだし。
たとえるなら,幼児向けアニメの世界に
現実の戦争の雰囲気をねじ込んだガンダムみたいなもんかな。

荒唐無稽なヒーローアクションがシリアスなヒューマンドラマに!
という展開をどう評価するかによってまったく異なった感想が出るだろうけど,
本来はティーンの少年という限られた客層がメインターゲットでありながら,
タイタニックに比肩するようなヒットを叩き出したんだから怪物というほかない。
これは間違いない。



で,結局どういう映画なんだよって?
それは見てのお楽しみ。

ダークナイトはバットマンの物語ではない。
もっとおぞましい何かだ。
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クリスチャン・ベイル、マイケル・ケイン 他

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※ 警察を含めた一般人が,多数決では爆破のスイッチを押すことに賛成しながらも,
 実際にスイッチを押すことが出来なかったのは,良心の帰結というよりも
 同胞を爆破してまで生き延びることへの罪悪感に耐えられなかったからだと見るべきかも。
 それができるのは罪を背負うことに拘泥しないキチガイ
 =バットマンとジョーカーだけ,という対比かな?
 (都合のいい時はバットマンに頼り,
 都合が悪くなると彼を非難する無責任な大衆への非難とも取れる)

 あるいは,そういうキチガイとはつきあいませんという一般人の意思表示かもしれないけど,
 実際に投票までしちゃってる以上,そうみるのはきついかな。

テーマ : 最近見た映画 - ジャンル : 映画

00:22  |  映画  |  トラックバック(0)  |  コメント(0)

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