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2012.05.24 (Thu)

景品表示法とラグくじの明日について

先日の速報について,補足説明を行う。

先日の記事の大要はこうだ。

1 コンプガチャ商法は景品表示法違反との見解を消費者庁が示した
2 1を受けてガンホーは「ラグくじ2012 June」の発売を中止した

この裏にはどのような事情が潜んでいるのか。



■ 景品表示法とは

景品表示法は通称で,正式には不当景品類及び不当表示防止法という。
この法律がどんな目的で制定され,
何を定めているのかというと,以下のとおり。



※ たぶん見る気が失せると思うので,見たい人だけ反転してね。
(目的)
第一条  この法律は、商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護することを目的とする。

(定義)
第二条  この法律で「事業者」とは、商業、工業、金融業その他の事業を行う者をいい、当該事業を行う者の利益のためにする行為を行う役員、従業員、代理人その他の者は、次項及び第十一条の規定の適用については、これを当該事業者とみなす。
2  この法律で「事業者団体」とは、事業者としての共通の利益を増進することを主たる目的とする二以上の事業者の結合体又はその連合体をいい、次に掲げる形態のものを含む。ただし、二以上の事業者の結合体又はその連合体であつて、資本又は構成事業者(事業者団体の構成員である事業者をいう。第二十条において同じ。)の出資を有し、営利を目的として商業、工業、金融業その他の事業を営むことを主たる目的とし、かつ、現にその事業を営んでいるものを含まないものとする。
一  二以上の事業者が社員(社員に準ずるものを含む。)である一般社団法人その他の社団
二  二以上の事業者が理事又は管理人の任免、業務の執行又はその存立を支配している一般財団法人その他の財団
三  二以上の事業者を組合員とする組合又は契約による二以上の事業者の結合体
3  この法律で「景品類」とは、顧客を誘引するための手段として、その方法が直接的であるか間接的であるかを問わず、くじの方法によるかどうかを問わず、事業者が自己の供給する商品又は役務の取引(不動産に関する取引を含む。以下同じ。)に付随して相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益であつて、内閣総理大臣が指定するものをいう。
4  この法律で「表示」とは、顧客を誘引するための手段として、事業者が自己の供給する商品又は役務の内容又は取引条件その他これらの取引に関する事項について行う広告その他の表示であつて、内閣総理大臣が指定するものをいう。

(景品類の制限及び禁止)
第三条  内閣総理大臣は、不当な顧客の誘引を防止し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を確保するため必要があると認めるときは、景品類の価額の最高額若しくは総額、種類若しくは提供の方法その他景品類の提供に関する事項を制限し、又は景品類の提供を禁止することができる。

(不当な表示の禁止)
第四条  事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。
一  商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
二  商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
三  前二号に掲げるもののほか、商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認めて内閣総理大臣が指定するもの
2  内閣総理大臣は、事業者がした表示が前項第一号に該当するか否かを判断するため必要があると認めるときは、当該表示をした事業者に対し、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。この場合において、当該事業者が当該資料を提出しないときは、第六条の規定の適用については、当該表示は同号に該当する表示とみなす。




いきなり条文の羅列で面食らっちゃったかもしれないから簡単にいうと,
消費者を騙して正常な判断力を失わせるような売り込み方で商売しちゃいけないよ
ということをいっているのだ。

事業者(巨大法人)と消費者(個人)では
情報量などの「力の差」が歴然としているので,
両者の取引を野放しにしておくと,
消費者は当たりもしない懸賞に延々挑み続けたり,
事業者がさして有益でもない商品を大々的に宣伝しまくることで
消費者がつい買ってしまうということも出てきてしまうわけで,
それは消費者のためにならんから是正しようというわけ。
これを立法趣旨という。



■ コンプガチャの何が悪いの?

ところが,実は前記の景品表示法は,おおまかなことしか決めてなくて,具体的な内容は
懸賞による景品類の提供に関する事項の制限
という公正取引委員会の告示に定められている。



1 この告示において「懸賞」とは、次に掲げる方法によつて景品類の提供の相手方又は提供する景品類の価額を定めることをいう。

一 くじその他偶然性を利用して定める方法

二 特定の行為の優劣又は正誤によつて定める方法

2 懸賞により提供する景品類の最高額は、懸賞に係る取引の価額の二十倍の金額(当該金額が十万円を超える場合にあっては、十万円)を超えてはならない。

3 懸賞により提供する景品類の総額は、当該懸賞に係る取引の予定総額の百分の二を超えてはならない。

4 前二項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる場合において、懸賞により景品類を提供するときは、景品類の最高額は三十万円を超えない額、景品類の総額は懸賞に係る取引の予定総額の百分の三を超えない額とすることができる。ただし、他の事業者の参加を不当に制限する場合は、この限りでない。

一 一定の地域における小売業者又はサービス業者の相当多数が共同して行う場合

二 一の商店街に属する小売業者又はサービス業者の相当多数が共同して行う場合。ただし、中元、年末等の時期において、年三回を限度とし、かつ、年間通算して七十日の期間内で行う場合に限る。

三 一定の地域において一定の種類の事業を行う事業者の相当多数が共同して行う場合

5 前三項の規定にかかわらず、二以上の種類の文字、絵、符号等を表示した符票のうち、異なる種類の符票の特定の組合せを提示させる方法を用いた懸賞による景品類の提供は、してはならない。

コンプガチャ商法は,この告示の5(太字部分)に該当するとして問題になっているのだ。
この商法の何が問題なのかは,こちらで確認してね。



■ つまり…どういうことだってばよ?

懸賞の景品類であるアイテムA,B,C,D…を全部集めるとアイテムXがもらえます!
という方式はアウト。
(逆にいうと,単にA,B,C,D…のアイテムを懸賞形式で販売することは問題ではない。
 ただのガチャは問題としないというのも,今回の騒動の重要な結論のひとつ)

ROプレイヤーに馴染みのある例でいうと,神器がこれに当たる。
猫の足音だの女人のひげだのという必要アイテム(アイテムA…)を揃えると
(かつ糞長いクエストを突破すると)
メギンギョルド(アイテムX)が手に入るというアレである。
ここで,猫の足ととかの必要アイテムがラグくじ(同法でいう懸賞)
の景品類に含まれていた場合は一発KO,
コンプガチャと同じ道をたどることになる。

神器材料がラグくじに入ってたらアウト,
神器そのものがラグくじに入ってたら問題ない。
そういうイメージで捉えてほしい。

しかし,現状ラグくじの中にこの手の景品類は含まれていない(はず)。
したがって,現時点ではラグくじが景品表示法違反に問われることはない(はず)。
現時点では。



■ 法解釈も,条文改正も,あるんだよ

だが,ガンホーは枕を高くして眠ることはできないだろう。
そもそも,今回コンプガチャが問題視されたのは,

1 懸賞形式でアイテムを販売していながら,当たりの確率が明示されていない
2 複数のカードの組み合わせによりレアカードが入手できるという手法により
  消費者の射こう心を煽った

からだけど,これはソーシャルゲーム(ネットゲーム)業界全体に蔓延する問題であって
コンプガチャだけにとどまる話ではないからだ。
つまり,ここからが本当の地獄だ…!(事業者にとって)
というわけである。



なにせ,消費者庁が引っ張りだしてきたのは
昭和50年代にプロ野球チップスが問題視されたときに制定された,
いわばカビの生えた告示である。
こんなのを使っている時点で,
今回はただの警告とみるべきだろう。
「今ある法律の運用だけでも,おたくら引っ張れるんだけど。
 あんまり好き勝手やってると本気出して取り締まるから」
という。
業界の自主規制を促しているともいえそうだけど。



ただ,恐ろしいことに(?),現行法でも
その解釈次第ではラグくじは景品表示法違反になる可能性がある。
例えば,茨の杖とスカルキャップ。
両者を同時に持っていても,何かしら新しいアイテムが貰えるわけではない。
そういう意味では,前記告示の「異なる種類の符票の特定の組合せを
提示させる方法を用いた懸賞による景品類の提供」には該当しない。

しかし,両者を同時に使用すると,
武器の精錬値1ごとにMATK+10の効果を得ることができる。
この「効果」を景品類と考えることも,法律の解釈上不可能ではないのだ。
というより,消費者庁が先日発表した
「カード合わせ」に関する景品表示法(景品規制)上の考え方の公表
及び景品表示法の運用基準の改正に関するパブリックコメントについて

を読む限り,少なくとも消費者庁は,
こういったシークレット効果についても
「便益、労務その他の役務」であるとして
景品類に該当すると考えているようだ。

まあ,茨スカルセットは,スカルキャップがくじ産じゃないから
該当するかどうかは微妙なところだけど。
たまにくじに入ってる水牛野牛セット,ヴァルキリーセット,ディアボロスセット,
スプリントセットなんかはアウトの可能性もあるかな。
水牛以外はゲーム内でも(懸賞によらずに)
入手可能という点がどのように評価されるのか,興味があるところだ。



仮に消費者庁の解釈が司法の場で容れられなかった場合でも(まず容れられるだろうけど),
上の問題を解決するために,今後政府が景品表示法及び関連法律を改正して
ソーシャルゲーム・ネットゲーム業界を直接規制することも十分に有り得る話。
というより,改正しなかったら仕事しろと怒鳴られるレベル。
ガンホーが真に恐れているのはこちらだろう。

個人的な心証を言わせてもらえば,
「一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限」
を目的とする景品表示法の立法趣旨からすれば,SODだのDマントだのといった
ただの武器防具をラグくじの景品類にすることすらアウトになると思う。
+10で本来の性能を発揮するアイテムをわざわざ-10(精錬値0)の状態で売りだして,
消費者がくじを買いあさるように射こう心を煽りまくってるんだもの。
万が一法律改正となれば,この辺りも一網打尽にされちゃうんじゃない。
(ガンホーは+0の状態が通常で,+10の精錬の効果はおまけだと説明するだろうけど,
 それが消費者庁の,裁判所の,さらには一般国民の理解を得られるかは怪しい)



■ ラグくじの今後

これだけは断言できる。
ラグくじは現在の形で存続することはできない。



しかし,生き残る方法もある。
その方法のひとつは,パチンコ業界を見習うことだ。

パチンコがこれだけ大手を振って市民権を得ているのは,
警察庁の上級幹部の天下りを受け入れているから…ではなく,
景品表示法第3条及びその委託法令等をパチンコ業界が受け入れて,
当たりの出る確率から景品の品揃えからガチガチに制限されているからなのだ。
建前上,顧客の不当な誘引を防ぐ程度には。

この辺に思うところはあるけど,とりあえずおいておいて,
パチンコ業界と同程度に(ガンホーにとって)うまみの減らしたくじであれば
今後も続けていけるだろう。



また,懸賞形式を廃止して,定価販売に切り替える方法も考えられる。
金ゴキC50万円,水牛の角20万円,ライド帽8万円各種取り揃えてございます,
ガンホー,がんばってますっ!


ぶっちゃけ,訓練された癌畜だらけのROには,
この方式が関係者全員が幸せになるベストチョイスなのかもしれない。



冗談はさておいて,この方式にした場合,
おそらくガンホーの売上はラグくじよりも落ちるだろう。

懸賞形式が射こう心を煽る要因のひとつに,1回のコストの低さが挙げられる。
普通の人間なら,金ゴキC50万円といわれたら
正気に返って買おうなどとは思わないだろう。
しかし,1回500円で金ゴキCが当たります! といわれたら,
ちょっとくらいやってみようかなと思う人も多いはず。

こうしてズルズルと金を使わせて,
消費者はいつの間にか大金をつぎ込んでいる…というのが
ガチャ(くじ)の集金スタイルだったわけで。

さすがに定価販売にしたら売上が伸びたというような事態はないと信じたい。



どういう方式を取るにせよ,
売上至上主義できたソーシャルゲーム・ネットゲーム業界は,
そこから脱却して社会的な承認を得ない限り今後はやっていけないということだね。
こまけぇこたぁいいんだよ!
でやっていくにはあまりにも大きくなりすぎた。



■ これらを踏まえて,1プレイヤーにできること

持てる限りのゼニーをつぎ込んで
くじ限定品,パッケ限定品を買いあされ!!
規制されて在庫がなくなっても知らんぞーっ!!!


※ 筆者は事業者ではないので,
  景品表示法の処罰対象にはなりません。
  通報しないでください。
  予想が外れて在庫抱えて爆死しても当方は責任を負いかねます。

テーマ : ラグナロクオンライン - ジャンル : オンラインゲーム

23:54  |  未分類  |  トラックバック(0)  |  コメント(0)

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