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2014.06.09 (Mon)

メタルマックス2リローデッド⑯

いよいよはんたの旅も終わりを迎えようとしていた。
バイアス・グラップラーの本拠地,バイアス・シティへ乗り込むときがやってきたのだ。

っておい!
街の前に新ダンジョンがねじ込んであるんですけど!
フメツ・ゲート?
バイアス・シティを守る防衛線とな?

警備主任のゲオルゲをスクラップにし,
中を探索していると巨大な脳髄型コンピュータが現れた。
不滅のヴラド4.0。
バイアス・シティにあるスーパーコンピュータ「バイアス・ヴラド」のプロトタイプか?

「彼」については,このリローデッドによってさらなる設定が明らかになった。
フメツ・ゲートにある不滅のヴラドはもともと人間の脳モデル…
意識をデジタルに再現するためのシミュレータだったようだ。
そのサンプルが開発者であるバイアス・ヴラドその人の人格であったと。
ここでのバイアス・ヴラドに狂気は感じない,
死期を悟る前に行われた純粋な(?)学術研究だったのだろう。

しかし,その後死の病に冒された「人間」バイアス・ヴラドは
フメツ・ゲートの研究者を抹殺,不滅のヴラドを停止させ,
機械化した警備主任ゲオルゲに同所の防備を任せると,
自身はバイアス・シティの地下深くに第2の「スーパーコンピュータ」バイアス・ヴラドを建設。
そこに「死の狂気に侵された」自身の人格を移植した…ということのようだ。



興味深い点がいくつかある。
ひとつは,不滅のヴラドは「擬似意識」であると,明確に表現されている点だ。
擬似…つまり魂を持たない存在。
哲学的ゾンビの議論に沿った定義のようにも思える。

以前も書いたとおり,バイアス・ヴラドとは何なのか
というのはこのゲームにおける最大の謎のひとつだ。
死の狂気に侵されたまま死んだ,偉大なる科学者にして政治家,実業家だった
「人間」バイアス・ヴラドがそうであったのは論をまたない。
では,スーパーコンピュータに移植された人格はバイアス・ヴラドと呼べるのか?

存在の基幹を意識におくのか,物質におくのか,
あるいはそれ以外の何かにおくのかは哲学の問題だろうけども,
ここでなお興味深いのは,このスーパーコンピュータを破壊したあとに出てくる「もの」だ。
1886.jpg
みなさんには,これが何に見えるだろうか。



メタルマックスの世界は現実の延長だ。
怪物は出てくるけれど,それは放射線の影響や遺伝子改造によって
生まれた「生物」か,あるいは人類の制御を離れた「機械」だ。
幽霊とか魔法とかいった「非現実的な」オカルトの類はいっさい登場しない。
金輪際ゴーストの正体も幽霊などではなかった。
そんな世界観にあって唯一,このヴラド(そして,ブルームーンハウスにいる亡霊らしきもの…
いずれもバイアス・ヴラドと呼ばれている)だけが物理主義で説明のつかない存在なのだ。
なんなんだこれは?

スーパーコンピュータを動かしていた膨大な電気が行き場を失ってプラズマ化したのだろうか。
それがたまたま人の顔のように見えた,という主人公の心象の表れなのか。
だから,ひたすら大砲を打ち続けてスーパーコンピュータを
完全に破壊してしまえば消えてなくなる…そういう理解もできなくはない。

あるいは,まったく非合理で何の根拠もないが,スッと腑に落ちる解釈もある。
これはこの世にしがみつこうとするバイアス・ヴラドの執念,怨霊である…という。
であるとするならば,そこからさらに一歩進んだ解釈も生まれうる。
これが怨霊だとするなら,このスーパーコンピュータは
「死にたくない」という切なるクオリア,魂を持っていたのではないか?
バイアス・ヴラドの実験は成功していた…
人類の科学技術は無から有を生み出す段階にまで至っていたのではないか?

怨霊となりうることと魂が存在することがイコールなのかは分からないし,
魂が存在することと意識を持つことがイコールなのかも分からないし,
人間に意識や魂が存在するのかも分からないが,
この状態を「生きている」と考える者がいたならば,
彼はそういった人間の救世主になれたのかもしれない。

数千数万の真空管で動いていた倉庫大のコンピュータは,
たったの70年で手の平サイズのタブレット端末へと進化した。
作中では家よりも巨大なスーパーコンピュータによってしか再現できなかった「人間」も,
研究が進めばやがて手の平サイズになっていったかもしれない。
人類はタンパク質の呪縛から逃れて,死をも克服できたかもしれないのだ。



もうひとつは,不滅のヴラドそのものの存在だ。
なぜこんなものが作られたのだろうか。
当然,バイアス・シティ防衛のためだけではあるまい。

生前のバイアス・ヴラドの行動方針はゲーム中で語られている。
いわく,「環境汚染を科学で解決する」。
ということは,彼が作った風力発電所や湖水浄化プラントと同様に,
この不滅のヴラドもそのための一環だったとみるのが自然だろう。

本人があの有様では真相の確認など取れそうもないが,もし仮に
デジタル(科学技術)の力でアナログ(自然)を再現するという不滅のヴラドの手法が
彼のプロジェクトの根幹となるコンセプトであったとするなら,
彼はハイコストな現代(未来)社会の人間の暮らしとも調和しうるような,
デジタルの力によって増幅された,新たな生態系を作るつもりだったのではないだろうか。

自動化機械化された食料プラントである郊外の街マド,
人々の生活に欠かせない電力を供給する風力発電所,
廃棄物による汚染を食い止める湖水浄化プラント,
そしてそれらを統括管理する巨大OSとしての不滅のヴラド。

メタルマックス2の物語の舞台そのものが,
不滅のヴラドを頭脳とし,バイアス・シティを体とし,
諸施設を手足としてデザインされたひとつの有機体,
デジタル生態系だったのではないかという妄想が,わしの頭からなくならない。
バイアス・シティ諸郡こそが,人類の進むべき方向性を示した
ユビキタス・シティの萌芽だったのではないか?



バイアス・ヴラドが生きていた21世紀中期,人類は数多くの問題を抱えていた。
環境汚染,人口爆発,経済格差,民族紛争…。
だがそれも,彼が死の狂気に侵されなければ,<大破壊>が起きなければ,
彼の望むとおりいつかは科学で解決できていたかもしれない。
科学技術は人間の制御の及ばぬ怪物などではなく,
人類はさらに先へと進むことができた…注意深く,時間さえかければ。
現代文明の崩壊は自明でも必然でもなく,偶然だった…。
その可能性の片鱗がここにこうして残っていた。

なんでこんな解釈の余地を残したのだろう。
死への恐怖から凶行に走った男の物語ならば,
人間を性悪と描いてもよかったはずだ。
科学技術の暴走によって崩壊した世界が舞台ならば,
その存在を断罪して終わりにしてもよかったはずだ。

だが,このゲームはそこに留まらない。
それらをしっかりと描きつつも,その根底には
人間の善性と科学技術への信頼とが等しく流れている。
主人公が使うのは,ほかならぬ科学技術の結晶…戦車なのだ。

バカをやるのも人間ならそれでも生きてるのが人間なんだ文句あっか!
といわんばかりの登場人物の強かさが,
善とか悪とかいう単純な価値観では割りきれない,
一筋縄ではいかない世界観が,
この作品をたまらなく魅力的なものにしている。



多様な価値観,解釈の存在を許すこのゲームが,
今の世にあってさらに輝きを放つのは間違いないだろう。
苦境にあってもタフに生きていこうという意味でも,警鐘の意味でも。

科学技術の万能性を盲信した人間は<大破壊>を引き起こし,
死の恐怖に囚われ理性を失った人間はバイアス・グラップラーとなる。
社会が多様性を失ったとき,人間が考えることをやめたとき,
何が起きるかをこのゲームは教えてくれているのだから。
00:08  |  メタルマックス2  |  トラックバック(0)  |  コメント(9)

Comment

きたあああああああああ!

善と悪、希望と絶望、えかさんの文章ってやっぱり心震えます!!!!
もうめちゃ好きっすw

この世界観も凄いと思いますが、それを読み解き、さらに字にして発信するのは並大抵の事や無いと思います。

もうめっちゃワナワナが止まらへんので、そろそろスーパーサイヤ人になれそうです。
イスタンコ |  2014.06.10(火) 09:58 | URL |  【編集】

プラネットマン、人面プラネット出してくれたのはよかったけど、やはりサイコマンやラージナンバーズの因果性の説明役で終わりそうだなぁ・・・

唯一、昔出した技で残ってるのは「惑星直列」だけども期待できない・・・

プラネットマンかっこいいだけに生き残って欲しいが、サイコマンは完璧超人の中でもかなりジョーカーキャラだからきつそうだね・・

残るニンジャとサンシャインとアシュラマンに期待だけれども、どれも正義超人に与したり、人間的な部分を見せたことが有るキャラばかりだから勝敗はともかくそこらが不安だ
EVIL917 |  2014.06.10(火) 17:27 | URL |  【編集】

イスタンコさんこんばんは。
いつも感想ありがたいことです。
なにせ20年も遊んでいるゲームですから,思い入れも一塩でして。
ウンウン悩んで書いてるというより,勝手に出てきちゃうんですよ言葉が。
くしゃみみたいにw





EVILさんこんばんは。
もうよくなったの?

今過去ログ見てきたんだけど,確かにプラネットマンは登場シーンからしてかっこよかった。
こいつが最後の悪魔超人だね。

2世はあんまり読んだことなかったけど,ザ・ニンジャって正義に転んだっけ?
どの勢力とも一定の距離を置く孤高のプロってイメージだった。
軟弱モノのイメージが板についたサンシャインがここで汚名を返上したら面白いが…なさそう。
アシュラマンは強キャラなのに勝ち星少ないから,そろそろスカッと勝ってほしいところだが!
えか |  2014.06.10(火) 23:15 | URL |  【編集】

イスタンコさんこんばんは。
いつも感想ありがたいことです。
なにせ20年も遊んでいるゲームですから,思い入れもひとしおでして。
ウンウン悩んで書いてるというより,勝手に出てきちゃうんですよ言葉が。
くしゃみみたいにw





EVILさんこんばんは。
もうよくなったの?

今過去ログ見てきたんだけど,確かにプラネットマンは登場シーンからしてかっこよかった。
こいつが最後の悪魔超人だね。

2世はあんまり読んだことなかったけど,ザ・ニンジャって正義に転んだっけ?
どの勢力とも一定の距離を置く孤高のプロってイメージだった。
軟弱モノのイメージが板についたサンシャインがここで汚名を返上したら面白いが…なさそう。
アシュラマンは強キャラなのに勝ち星少ないから,そろそろスカッと勝ってほしいところだが!
えか |  2014.06.10(火) 23:15 | URL |  【編集】

大事なことなので2回言いました。
えか |  2014.06.10(火) 23:16 | URL |  【編集】

プラネットマンは真の悪魔超人だね!

ニンジャはソルジャーと組んだのと、そのあと正義超人軍入りして、凶悪超人を逮捕する組織の長やってたんだよね・・・

加えて、ニンジャは人気の割にはシングル戦績3戦3敗というね。

ブロッケンJr VS ザ・ニンジャ×
サタンクロス VS ザ・ニンジャ×
ハンゾウ VS ザ・ニンジャ×(二世)

ここらで活躍が見たいが、あくまで悪魔超人としての勝利が見たい。

サンシャインは同じく期待してないw

アシュラマンは死んだ超人の腕を奪えるという設定を活かして、死んだ完璧超人
の腕を奪って戦うとか、そんなテリー戦時みたいな残虐ファイトを期待。

とりあえずオレの今シリーズイチオシはBH!
是非コミックでブラックホールの活躍を見て欲しい。
完璧超人相手に無傷の2連勝はBHだけ!

あとはネプチューンマンがどのタイミングでどの勢力で登場するのか気になってる。

そしてコメ返しでもゆうたけど、「もうよくなったの?」ってどこも悪く無いからwwwwwww


EVIL917 |  2014.06.10(火) 23:42 | URL |  【編集】

し,しらなかった。
ザ・ニンジャそんな人生を送っていたのか…。
しかも冷静に見るとえらい負けっぷりだ。

BH勝ってるの!?
しかも2勝!?
エエエエエエエエ
いやでも四次元殺法コンビも主人公相手だから敗れたけど,それ以外のチームだったら倒せてたか怪しかったか。
時間と空間を操るとかどう考えてもラスボスポジ,正直マグネットパワーよりよほど強そう。

いや, 殺意の波動に目覚めたメンズビオレで深い傷を負ってマスクマンに転向したのかなと思って。
えか |  2014.06.11(水) 21:29 | URL |  【編集】

42巻、43巻にBHの活躍は詳しい。まじでかっこいい。オレのブログの肉メンってカテゴリーで悪魔超人の活躍は多少見れるかな。

ステカセが超人大全集でキン肉マンゼブラに変身したり、アトランティスがロビンのタワーブリッジを使ったりとな!
EVIL917 |  2014.06.11(水) 21:58 | URL |  【編集】

そんな展開を聞かされたら,女房を質に入れてでも買わないけなくなっちゃったじゃん!
なんてことをしてくれよったんじゃゆでえええ!
えか |  2014.06.12(木) 21:19 | URL |  【編集】

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